※こちらは、東北大学学友会体育部の学生やOBOGに向けた情報発信サイト「とんぺースポーツ」で2022年4月〜10月までに掲載された記事をアーカイブとして掲載しています。ぜひご覧ください。

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こんにちは、学生団体Ryuzの遠藤です。

七大戦実行委員会×学生団体Ryuzコラボ企画「#ななスポ」第7回の今回は7/16(土)〜7/18(月)まで閖上ヨットハーバーにて開催されたヨット競技。競技に参加するだけでなく、今回、主管校として運営にも奔走された主将の田中さんにヨットの魅力、また、運営に関わった感想などをお伺いしました。

※「そもそも七大戦って何?」という方は、第1回の記事「七大戦とは」をご覧ください。

ヨットに魅せられて〜とんペーから世界を〜

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七大戦での様子①

―大掛かりな準備が必要なスポーツ、ヨット。なかなか普通の人にはあまり身近に感じられない部分もありますが、ヨットのどこに魅了されたのか、その辺りをまずは教えていただけますか。―

ヨットはスポーツとして身体を使うのはもちろん、すごい頭を使うことが重要な競技であるところが魅力です。

例えば、気象情報をちゃんと見て、風の向きや潮の流れといった気象条件などを予め情報として収集し、その情報を噛み砕いてレースのコース引きなどに運用するといったような、頭を使いスマートに戦うといった部分が他の競技にはない点ですかね。

実際、ヨットは「海上のチェス」って言われているぐらいで、頭を使った戦略が非常に重要になってきます。

「海」という自然も相手になるので、番狂わせもままあります。例えばオリンピックや世界ランク上位TOP3とかはそこまで大きく変動することはないんですが、急に新星が出てきて、いきなり表彰台に上がることはあります。

最近も日本人の高校生女子のペアが世界選手権で女子2位になったのですが、彼女たちは今回が初めて出た世界選手権だったようです。

また、ヨット競技だと1回で一気にレースをするので、大会によってはスタートラインが横に300mほどの長さになったり、競技の場が海面縦横2km×2kmといった本当にほかの競技とは比にならないぐらい大きな場所を使用して戦うといった規模感がやっぱり魅力があるかなと思います。

私は、高校からヨットを始めていますが、結構どっぷりハマっていたので大学を選ぶときにヨット部があるのは必須でした。

―学友会ヨット部の歴史について、教えてもらっても良いでしょうか。創部してから何年、部員数の変遷など。部員が少なくなって、存続の危機に見舞われたなどはありますか?―

来年で創部85周年になります。85年の歴史の中でヨット部は部員が全く居ない時期があったとか、活動を停止していたという時期はないというふうに認識しています。

例えば、ひと学年で三人とか四人とか、そういう時代はあったとは思うのですが、基本的には継続して活動は続いていたのだと思います。

また、現在の部員数は、4年生が9名、3年生が5名、2年生が6名で、最近入ってきた1年生が10名の合計30名で、女子部員が現在、1年生に3名います。1年生の女子部員が入るまでの現2・3・4年生の男どもだけでやっていたときは、かなり猛々しい状況でした。

ヨット自体が女子のハードルが高いというのは一切ないのですが。。。

ちなみに、全日本インカレ団体戦の72艇での試合は、男子同士のペア、女子だけのペア、男女ミックスのペアが混ざって試合をしていました。

体格の部分で風が強くなればなるほど、体格の差で男子が強いことはありますが、逆に風が弱くなったら、女子で軽い選手とかが有利になるため、体格の差や男女差は全く関係がないところも面白いですね。

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七大戦の様子②

―年間のスケジュールって、どんな感じでしょうか?ー

練習自体は、東北であれば一年を通してすることはできるのですが、東北はレースシーズンが5月〜10月で、関東等の方に行くと12月ぐらいまでは基本的にレースシーズンになっています。

だいたい、5月の閖上(宮城県名取)で開催される北日本オープンヨットレースを皮切りに、シーズン中に10ぐらいのレースに出場して、11月頭の全日本学生ヨット選手権大会で閉じるようなレーススケジュールです。

七大戦以外のレースだと基本的に艇は自分たちのものを持っていくので、行って帰ってくるだけでも結構大変。1ヶ月に1回ぐらい出場するので、9月、10月のハイシーズンはかなり慌ただしくなります。

―社会人になっても、続けている人っておられるのでしょうか。先輩方は社会に出てどのような活躍をなさっているかなど、何か傾向はありますか?―

社会人になっても続けられている人は実際すごく多いです。

ヨットは終身スポーツというか、種目によっては、7、80代の方が実際に今でも現役でレースに出ていたりして、そういう人が大学生とかと一緒に同じレースに出場したりもします。

もちろん、マスターズ大会もあるにはあるのですが、全日本の大会になると、年齢の区分けを取っ払って、大学生、社会人の30代、40代、50代や60代が一斉に参加します。なので、教え子と先生がレースで戦ったり、一緒に乗ってレースに出るとかもざらにあります。

一般的なスポーツに比べお金は間違いなく掛かりますが、資金があれば1人でも出来るスポーツなので、意外と続けやすいですね。

東北大学を卒業し、活躍している方については、現在、私たちの活動をみて頂いている山村コーチになりますね。大学卒業後にテーザー級という2人乗りの種目で全日本チャンピオンになられていますし、世界選手権にも出られています。

あとは私の5、6歳年上で比較的若い世代でもう1人、1人乗りのモス級という種目で去年のイタリアの世界選手権に出られた行則さんという方もいます。

また、ヨット競技を続けている人の傾向として、契約選手のようなプロセーラーもいるんですが、仕事をしながらヨットに乗る人の方が間違いなく多いと思います。

ちなみに、日本にいらっしゃるプロセーラーの方は、ご自身でプロセーラーと言っている方が多いです。国際大会とかに出たことがある方や大学とかのチームでコーチングをされている方、あとは自営でヨットの道具等を輸入して販売されている方など、そういう方が多い印象です。

あとは審判の資格を取って審判としてヨットに関わる方、実際の大会でレースを管理するような運営側の資格ライセンスを取って関わる方もいます。

七大戦への想い〜七大学が一丸となって〜

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七大戦への想いを語る田中さん

―さて、年間でこれだけ多くの大会にご参加されていますが、その中でも七大戦は特別なものなのでしょうか?仮に特別なものである場合、何故、特別なのか、その辺りを教えていただけますか?―

七大戦は間違いなく特別な存在です。

まずは、学生主体で行える点ですね。今回は主幹校としてレースをいつ、どこでやるのか、どのくらいの規模でやるのかなど、運営の初期の段階から関われて作り上げることができるのが特別でしたし、私自身にやりがいをもたらしてくれました。

運営する過程でも、七大学の主将や現役部員と話し合いながら臨機応変に対応するなど、柔軟に対応して大会設計ができました。特に、LINEグループやオンラインミーテイングなどを活用して、常々、他大学と連絡を取り合っていましたので、そういった点も進めやすかったです。

あと、大会に出場しないメンバーの交流が深まることも七大戦ならではですね。

ヨット部は1、2年生のボリュームがすごく多いのですが、今回も陸上で七大学の1、2年生が全員参加して腕相撲大会をしていました。

自分が1年生の時はみんなでサッカーをしていたんですが、そこでできたコミュニティが活きるんです。4年生になった時の運営のしやすさとか、他大学がどのような練習をしているかなどの情報収集に役立っています。

その交流は七大戦でしか見られない光景なんです。

―今回の七大戦は第59回大会、第60回大会がコロナで中止となった後、3年ぶりに開催されましたが、中止となった第59回時、第60回時はどのようなお気持ちでしたか。また今回の第61回大会は、皆さん、本当に待ち焦がれていたと思いますが、その辺りについて、どのようにお感じになりますか?―

七大戦はレースの側面はもちろん、交流の場としての楽しみ方もあるので、ショックというか悲しいというか、何かが足りない気持ちになりました。なので、今回開催が決定した時は、まず、大会が出来ることに関しては素直に嬉しかったですが、それと同時に自分達が主管校であることにプレッシャーを感じました。ワクワクと不安が両端にあるような感じでした。

―話は変わって、七大戦のレース運営についてお聞かせください。今回、田中さんが大会準備の点において、一番苦労した学生とお伺いしました。どのような点が大変でしたか?―

東北地方はヨットの活動をしている大学が少ないのがまず1点と、 あとはヨットのクラスによって船の種類がたくさんあるのですが、その中で大学のヨットで使っている470とスナイプの2つの種類を集めなければならず、どうしても東北地方に置いてある艇だけではまかないきれなかったため、集めるのが大分大変でした。

まず470の方に関しては、医学部の東医体(東日本医科学生総合体育大会)の種目になっているので、医学ヨット部が大体持っている場合が多く、今回はそれを借りることで、基本的には外部から持ってこずに済みました。

スナイプに関しては、東医体の種目に無いのと、東北学院大学がスナイプは人が足りてなくてまだ競技として成立していないことがあり、全く数が揃わなかったため東京大学から陸送で持ってきました。

艇は東大の葉山(神奈川県逗子)から持ってきたのですが、葉山で東大のヨット部の方に積み込んでもらい、東北大の閖上(宮城県名取)で僕たちヨット部の学生が降ろしました。

基本的に積む側と降ろす側のチームが異なる事は有り得ないのですが、こういった大学をまたいだ協力関係も七大戦ならではだと思います。

また、今回1艇、とても状態が良くないというトラブルがありました。

それに関しては、東北学院大学の方から急遽1艇お借りして対応しました。前日に艇を整備する必要があったため、各校の練習に不公平感が出ないように、海上練習を制限したりして大会本番までの調整などをしました。

東北大学ヨット部で各クラス8艇ずつ持っていると先ほど言いましたが、実際に稼働させている艇は4、5艇で、残りの3艇は普段は艇庫に眠っていて、今回の大会で部品を替えて使えるようにしたということもあり、各艇の程度の差については、整備がどれだけ行き届いているかなどでかなり差がありました。

そんな艇の整備に追われて、これ、終わるのかなーと。そんなのばっかりでした。

ただ、艇の整備は現役学生が分担して行ったり、OBの方に手伝って頂いたりして何とか全艇を揃えることができました。

大会そのものでも気象トラブルに見舞われました。

初日が霧。朝、ハーバーに着いたら霧がかかっていて、海側が何も見えませんでした。それが昼過ぎぐらいに晴れたので海に出ようとなりレースが始まったのですが、レースが終わりかけの時ぐらいにまた霧が急に出てきてしまい、一瞬で隣の艇が見えなくなってしまいました。

そのため、そのレースは一旦中止になってしまって。

2日目はレースが終わってから土砂降りの雨が降り、また霧が出たため、安全を考慮しながら岸まで移動したりと、運営面での判断を余儀なくされる場面がいくつもありました。

ただ、大会が終わった後は達成感というか、やって良かったなと思いました。

大会後に各大学の同期や次の主管校である東大の1つ下の後輩たちが、「お疲れ様でした」や「楽しかったよ」、「良かったよ」などを直接言ってくれたことが一番印象的でした。そこは本当にやって良かったなと思いました。

4年もやっていると他大学との交流も深くなっているので、そういった人たちから労いの言葉をかけてもらえるのは嬉しかったですね。

東北大学体育部全員で勝ち取る!

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川内北キャンパス正門前にて

―最後にお聞きします。初の東北大学4連覇がかかった今回の七大戦。8月、9月とどんどん競技が進行していきますが、他の体育部の方々へのメッセージをお願いします。―

今年は主管校ということもありますので、自分達の地元でやっているというその力を活かして頑張ってほしいと思います。

また、私個人的には東北大学として競技に勝っていくというのはすごく嬉しいものです。

高校生の時にやっていたスポーツを応援する人も多いので、そういった盛り上がりも大きいのではないかと思います。今までの主管校で東北大学だけ優勝を逃したことがないというのも知っていたので、そこも死守してほしいと思っています。

みなさん、頑張ってください!

(編集部より)

ヨットは、日本ではテレビ中継もあまりなく馴染みのない競技だと思います。

ただ、東北大学卒業生でもアスリートとして世界レベルで活躍されている方がおられることに、編集部一同、驚愕しました。

「海上のチェス」と呼ばれるように知力はもちろんのこと、ヨットをしっかりと手なずける体力、さらに天候という人智を越えたところにある「運」も味方につけないと勝利には到達できない、非常にシビアな競技であることが良く理解できました。

今回、部長の田中さんからお話を聞かせていただいて、大学生をもう1回やり直したいな、そんな気持ちにもなりました。

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